ネルドリップは、昔ながらのコーヒーの淹れ方で、特に深い味わいを楽しみたい人に愛されています。
「ネル」とは、フランネル(flannel)のネルです。布製のフィルターのことを指します。
ペーパードリップと異なり、紙ではなく布を使ってコーヒーを抽出するため、独特のまろやかさとコクのある味わいが特徴です。
この布フィルターを使うことで、コーヒーオイルがしっかりと残り、より濃厚な風味が引き出されます。
ネルドリップの淹れ方
ネルドリップはペーパードリップに比べて少し手間がかかりますが、独特の風味を楽しむために、丁寧なプロセスが大切です。
- 道具を準備する
- ネルフィルター
- ドリッパー
- コーヒー豆(中細挽きがおすすめ)
- ケトル
- サーバーやマグカップ
- スケール(計量器)
- ネルフィルターを水で湿らせる
初めて使うネルフィルターは、ぬるま湯で軽く洗ってから使い始めましょう。布製フィルターなので、湿らせることでコーヒー粉にお湯が均等に行き渡ります。ネルフィルターは繊維が粗く、コーヒーオイルをしっかりと抽出するため、味に大きな違いが出ます。 - コーヒー豆を挽く
コーヒー豆は「中細挽き」がネルドリップには最適です。1杯分(約150ml)のコーヒーには10〜12gのコーヒー豆を目安に挽きます。豆の挽き具合が味に大きく影響するため、何度か試してお好みの濃さを見つけてください。 - お湯を注ぐ
お湯の温度は90℃前後が理想的です。最初に少量のお湯(約30g)をコーヒー粉全体に注ぎ、30秒ほど蒸らします。これによってコーヒーの粉がしっかりと膨らみ、風味が引き出されやすくなります。その後、中心からゆっくりとお湯を注ぎ、円を描くように外側に広げていきます。一度に大量に注がず、少しずつ丁寧に注ぐことで、安定した抽出が可能です。 - 抽出が終わったらネルフィルターを洗う
ネルフィルターは使い捨てではなく、繰り返し使用できます。使用後はしっかりと洗い、雑味が残らないように管理することが大切です。布フィルターは手入れが重要で、きちんと管理することで長持ちします。
ネルドリップの味わい
ネルドリップで淹れたコーヒーは、まろやかでコクのある深い味わいが特徴です。
布フィルターが微細なコーヒー粉や雑味をしっかりと取り除きながらも、コーヒーオイルを多く抽出するため、豊かな風味が楽しめます。
ペーパードリップに比べて、コーヒーの質感がよりリッチで、口当たりも滑らかになります。
特に、深煎りの豆を使うと、ネルドリップの特徴がより一層引き立ちます。
コクと苦味がしっかりと感じられる一方で、まろやかさがあるため、飲みやすさも兼ね備えた仕上がりになります。
また、浅煎りの豆でも、酸味が穏やかになり、優しい風味が楽しめるのがネルドリップの魅力です。
こんな人におすすめ
ネルドリップは、コーヒーの風味をじっくり楽しみたい方や、リッチでまろやかなコーヒーが好きな方に特におすすめです。
以下のような人に向いています。
- コクのあるコーヒーが好きな人:コーヒーオイルをしっかりと抽出するため、濃厚で深い味わいを楽しみたい方にぴったりです。
- 時間をかけてじっくりコーヒーを淹れたい人:ネルドリップは少し手間がかかるため、コーヒーを淹れるプロセスそのものを楽しみたい人に最適です。
- 深煎りの豆を好む人:ネルドリップは特に深煎りの豆と相性が良く、苦味やコクを最大限に引き出せます。
ネルドリップのメリット・デメリット
メリット
- まろやかでコクのある味わい
ペーパードリップに比べて、コーヒーオイルがしっかりと残るため、よりリッチでまろやかな味わいが楽しめます。 - 繰り返し使える
ネルフィルターは布製なので、繰り返し使えるのが経済的です。環境にも優しい点がメリットです。 - フィルターの種類による味の変化が少ない
布フィルターは一定の品質を保てるため、ペーパーフィルターのように品質差による味のブレが少ないです。
デメリット
- 手入れが必要
ネルフィルターは使い捨てではないため、使用後はしっかりと手入れをする必要があります。フィルターの管理を怠ると、雑味がコーヒーに移ってしまうことがあります。 - 手間がかかる
ペーパードリップに比べ、ネルドリップはお湯を注ぐ際の細かいテクニックやフィルターの手入れなど、全体的に手間がかかります。そのため、忙しい朝には向いていないかもしれません。 - 抽出が安定しにくい
ペーパードリップに比べて、ネルドリップは抽出方法が難しく、慣れるまでは安定した味を出すのが難しいことがあります。
ペーパードリップとの違い
ペーパードリップとネルドリップは、どちらもドリップ方式ですが、いくつかの違いがあります。
- フィルターの素材:ペーパードリップは紙製のフィルターを使用し、ネルドリップは布製のフィルターを使用します。ペーパーフィルターは使い捨てですが、ネルフィルターは繰り返し使えます。
- 味わいの違い:ペーパードリップでは、すっきりとしたクリアな味わいが特徴ですが、ネルドリップではコクがありまろやかな風味が楽しめます。ペーパーフィルターはコーヒーオイルを吸収するため、より軽い味わいになるのに対し、ネルフィルターはオイルを多く残すため、リッチで深い味わいに仕上がります。
- 手軽さ:ペーパードリップは比較的簡単で、初心者でも安定した味を出しやすいのに対し、ネルドリップはフィルターの手入れや技術が必要なため、やや手間がかかります。
まとめ
ネルドリップは、まろやかでコクのあるコーヒーを楽しみたい方に最適な方法です。
ペーパードリップと比較すると、少し手間がかかりますが、その分リッチで深みのある風味が楽しめます。
コーヒーを淹れるプロセスそのものを楽しみたい人や、コクのあるコーヒーが好きな人にはぴったりの淹れ方です。
ぜひ一度、ネルドリップで本格的なコーヒーの味わいを楽しんでみてください。